ユナイテッド93

前々から見たいと思っていた映画「ユナイテッド93」を観てきた。
MOVIXの会員カードがあるので、どうせならMOVIXで観ようと思っていたけど、一番近い亀有のMOVIXでは上映すらされていないのはなぜだろう?行ける範囲では、さいたま新都心と三郷のMOVIXでしか上映されていないようだった。しかも1日2回(昼間とレイトショーのみ)。そんなに人気がないのだろうか……。ちなみに私が観た時は、席が3分の2程度埋まっていた位であった。
5年前の9月11日、私は帰宅直後のテレビのニュースで、WTCに航空機が激突する瞬間を見ていた。確かNHKのニュースがかかっていたと思う。帰宅直後、1機目は既に衝突した後で、私が見ていたのは2機目が衝突する瞬間だった。「あっ!飛行機がビルに突っ込んだ!」と思った瞬間は、特にそのようなコメントもなく、とにかく何が起こっているのか分からないと言った雰囲気が伝わってきていた記憶がある。WTCで高校のOBが亡くなったことを知って初めて、私の中であのテロが現実味を帯びた事件に思えたのだった。
それはともかくこの映画、まずは観て良かったと思える作品であった。私はとにかく何かに対する感情移入が激しく、更に涙腺が驚く程ユルユルなので、もう最初から涙が流れっぱなしだった。まあ、予告編から涙、オープニングの音楽で涙とか、そういうレベルであるので、お話にならないかも知れないが……。映画の冠になるような有名な俳優さんが出ていない所為もあるのかもしれないが、すごくリアリティを感じた。勿論、乗員乗客が全て亡くなっているし、ましてや「映画」であるので、事実は織り交ぜてあるにせよ「真実」ではないことは頭で分かっている。けれど、撮り方や台詞など、何となく事実を淡々と描いているのでは?と錯覚してしまった。実際の人物が演じている役もいくつかあったようだ。
テロは許されない暴力だと思う。無差別の自爆テロなどのニュースを見聞きする度、やるせない思いと、無関係な人の命を奪うテロリストへの怒りを感じていたのだけれど、この映画を観て、テロリストも人間であって、ただの殺人マシンではなく色々な感情を抱き恐怖と闘っているのだろうなと思った。だからと言って許されるわけもないけれど、犠牲になるのはいつも底辺にいる人間なんだよなという悲しい思いを抱いたのも確か。
とは言え、やはりこれは「映画」であって「真実」ではないのだよね。でも、いろいろ考えさせられた。観終わった後は暫く重い気分になるし、撮り方の関係だろうけど乗り物酔いのような状態になるかも知れない(私は途中でパニック発作を起こしてしまった)。でも、観て良かったと思える作品であったし、DVDが発売されたら多分購入するだろうと思っている。